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2019年10月02日 00:00
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【新連載】<あるこーるらんぷ>金鶴泳 飜譯記
第1回 翻譯して考へたこと、苦勞したこと

 今月から目下その翻譯に取り組んでゐる、在日二世の作家、金鶴泳の作品『あるこーるらんぷ』(初出は1972年2月號の『文藝』)について連載を書くことになつた。著者が此の世を去つた數箇月後に生まれた小生は、殘念ながら彼に会ふどころか、すれ違ふことさへできなかつた。だが、氏が數年間コラム(73年3月より「窓」、74年7月よりは「ポプラ」)を執筆してゐた本紙に、連載を書くやうになつた自分とはご縁があると信じたい。
さて、此の連載の中心となる『あるこーるらんぷ』は、70年初期の日本を舞臺とする、在日朝鮮人一家族の崩壞を物語る短編小説である。本連載を切つ掛けに此の作品を讀む、あるいは再讀する人が出てくるのを期待し、今囘はこれ以上作品の内容に觸れないことにする。金鶴泳の作品は、生前刊行された小説集と他界した直後に編纂された『金鶴泳作品集成』(作品社、86年)は、みな絶版になつてゐるが、幸ひなことに近年再出版されたものが手に入るようになつた。小説はもとより、日記、エッセイ、小作、習作、書評などが収録されてゐる全集に近い『金鶴泳作品集』が全二巻でそれぞれ2004年と06年にクレイン社より刊行された。ほかには、磯貝治良、黒古一夫両氏が編集した『〈在日〉文学全集』(全18巻、勉誠出版、06年)の第6巻は金鶴泳の小説のみを扱ひ、その中に8點が収録されてゐる。また、著者と親交があつた鳥居昭彦氏が、10年に遺作『土の悲しみ』を敢へて一冊の本として自社シングルカットから出版した。勿論、金鶴泳の作品を讀むには、地元の圖書館で借りたり、あるいは古本屋で入手する手もある。そして運が良ければ著者の美しいサインの入つた署名本、獻本に出逢へるかも知れない。
此の連載の題名が示唆するやうに、これから金鶴泳の作品を翻譯の角度から論じていく。『あるこーるらんぷ』を佛語に譯すに當たつて、考へたこと、そして苦勞したことについて執筆したい。翻譯の話といつても、外國語の知識を必要とするものではない。なぜなら此處で取り上げる翻譯上の問題は、例へば複雜な構文や專門的な語彙の活用などによるものではなく―さういふ難しさにはしばしば遭ふが―著者が作品に描いてゐる、在日朝鮮・韓國人が置かれてゐる歴史的・政治的、経濟的、社會的な狀況に起因してゐるからである。植民地支配、そしてそれに相次いだ朝鮮半島の分斷は、作品のモチーフとして現れてゐるのみならず、同作品を綴るコトバにまで影響を及ぼしてゐるのである。作品中の在日朝鮮人一家族は、「日本」―「コリア」、「北」―「南」といふ二つの二重構造の間に挾まれてをり、コトバに包含されてゐる、緊張を孕んだこれらの構造を譯文に反映させることは容易ではない。
此のやうな話に入る前に、次囘の連載から暫くは金鶴泳の海外に於ける翻譯、そして氏の日記に基づいて推定できる『あるこーるらんぷ』の執筆過程について書かうと考へてゐる。その後はなるべく「毎囘、小説の一章ずつ」といふテンポで進んでいきたい。至らぬところが多いと思ふが、どうかお付き合ひ願ひたい。
<この文章は旧仮名遣いで書かれています>
アドリアン・カルボネ(Adrien Carbonnet) 1985年にフランスで生まれる。現在、ルーヴェン大学(KU Leuven)文学部准教授、日本学科長兼韓国学研究所長

2019-10-02 6面
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