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2019年07月18日 00:00
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東京測地系→世界測地系 日本の対韓輸出管理見直しの問題点
影響の広がり懸念

 日本の経済産業省が7月1日、「大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて」を発表した。
見直す理由として、輸出管理制度は国際的な信頼関係を土台にしているが、「日韓間の信頼関係が著しく損なわれた状況」にあること、「大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したこと」を挙げ、今後、(1)輸出管理において優遇措置を与えていた「ホワイト国」から韓国を削除すること(2)特定品目(フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素)を包括輸出許可から個別許可に切り替えると発表した。
なお、韓国の輸出管理で不適切な事案が発生したことと3品目との関係は不明である。
今回の運用見直しを額面通りに捉える人は少ない。上記3品目は韓国の主力産業である半導体と有機ELパネルの生産に不可欠で、日本企業が世界市場で高いシェアを占める点を踏まえると、入念に準備した「事実上の制裁措置」といわざるをえない。
今回の措置が発表された背景には、和解・癒やし財団の解散、元徴用工に対する賠償問題、海上自衛隊の哨戒機に対するレーダー照射など多くの問題が生じるなかで、韓国政府が(日本政府が望む)誠実な対応をしなかったため、日本政府が韓国政府に対する信頼感を失ったことがある。
昨年10月末の大法院による徴用工判決後、韓国政府は司法の判断を尊重しつつも、韓日関係に否定的な影響を及ぼすことがないように取り組むと表明したが、具体的な対応策を提示せず、G20の前に提示された案(財団を設立し韓日企業が資金を拠出)も、とうてい受け入れられる内容ではなかった。
こうした日本政府の立場を理解しつつも、今回の措置には以下のような問題がある。
第一は、影響の広がりである。影響の度合いは今後の運用いかんによるが、もし日本の輸出が大幅に減少し、韓国での生産に支障が出れば、韓国経済に大きな影響が及ぶ。
昨年の輸出額をみると、半導体が約2割、ディスプレイが約4%を占める。半導体や有機ELパネルを搭載したスマートフォンやパソコン、テレビなどの最終財を含めると、4割近くに達する。また、半導体は設備投資を牽引してきたため、投資を冷え込ませる。
注意したいのは、サプライチェーンを通じて、影響が広がることである。半導体の生産がストップすれば、サプライヤー(各種材料、製造装置など)である多くの日本企業をはじめ、ユーザー企業(スマホ、パソコン、テレビなど)にも影響が及ぶ。
韓国のメモリの輸出額の約8割が中国・香港向けで、中国で生産する企業(含む米国・日本市場向け生産)に供給されている。このため、ここに影響が広がれば、日本は世界から反発を受けることになりかねない。
第二は、目的に照らしての手段の妥当性である。今回の措置は韓国政府に、(日本政府が望む)適切な行動を促すことにあると考えられるが、重要なのは韓国政府ならびに韓国の国民がどう受け止めるかである。
韓国政府は今回の措置を経済報復として受け止めて、相応の対抗措置を講じる姿勢である。国民の間にも「日本が貿易戦争を仕掛けてきた」として、日本への対抗措置(日本製品の不買・不売、旅行自粛)が始まった。その動きは今のところ限定的であるが、今後の状況次第で広がる恐れがある。
第三に、民間の経済活動への否定的な影響である。これまで両国の企業は、政府間関係が厳しい状況下でも、信頼関係を土台に安定した関係を維持してきた。今回の措置はそこを揺るがす恐れがある。
以上の3点を、日本政府は十分に認識する必要がある。文在寅政権も経済への影響を極力抑えたいのが本音であろう。最悪の事態に陥らないためにも、早期に両国間で協議を行うことが求められる。
(日本総合研究所 向山英彦)

2019-07-18 2面
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