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2019年06月26日 00:00
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【映画】『感染家族』(韓国)
ゾンビより怖い、欲にまみれた人間

ゾンビ集団の来襲に立ち向かう次男©2019Megabox JoongAng Plus M & Cinezoo, Oscar 10studio, all rights reserved.
 ゾンビ映画と聞くと苦手に思う人もいるだろうが、そのゾンビ映画がいま熱い。韓国では『ソウル・ステーション/パンデミック』や『新感染 ファイナル・エクスプレス』が話題を呼び、時代劇『キングダム』が大ヒット。そこに登場したのがゾンビコメディともいうべき本作である。
ひなびた田舎のガソリンスタンドを経営するパク一家。父親(パク・イナン)はハワイへ行くのが夢だが、その日暮らしの生活ゆえ半分諦めている。そんなある日、突然現れたゾンビに頭を噛まれ、なぜか若返ってしまう。それを見た一家は一獲千金の「ゾンビビジネス」に乗り出す。ご都合主義の長男(チョン・ジェヨン)と妊娠中の妻(オム・ジウォン)、口の達者な次男(キム・ナムギル)、芯の強い末っ子(イ・スギョン)が協力し合い、事業は順調に滑り出したかに見えたが、欲に目がくらんだ家族の思惑がすれ違い始め、感染者が急増してしまう。感染者に副作用が表われ、一家のスタンドにゾンビの大軍が押し寄せる。
本作のイ・ミンジェ監督は「ゾンビより怖い人間がいたらどうなるのか」という発想から脚本を書き出したという。人間はゾンビを怖がるどころか、逆に一儲けしようと新しいビジネスを考え出す。だがゾンビに心があることに気づかない。唯一、真正面から向き合ってくれた末娘にだけは、ゾンビ(チョン・ガラム)も真心を感じ、危機に陥った彼女を救い出す。
ファンタジーのようなこの展開は、ロボットと人間の関係に似ていないだろうか。自分勝手な人間たちが自分の身代わりとしてロボットを作りだし、奴隷のようにこき使う。心を持ったロボットはとうとう反乱を起こし人間のおごりに警告を放つという展開。ロボットをゾンビに置き換え、欲にまみれた人間の暴走がゾンビを生みだすと考えれば、欲望もどこかで歯止めをかけなければいけなくなる。せめてゾンビ並みの優しい心を持ってほしいと監督は思っているのかもしれない。だからこそ映画の後半では、自分のことしか考えなかった家族に危機が迫り、自然に団結していく。
この展開もうまいが、登場人物の中にただ一人、ゾンビのウイルスに感染しなかった人がいる。それが誰なのかは作品を見ていただくしかないが、感染しない理由は免疫によって生まれた抗体の働きが作用したものらしい。この仕組みを使ったゾンビ映画は珍しい。パク一家の兄弟を演じるチョン・ジェヨンとキム・ナムギルら豪華キャストや、劇中で繰り広げられるゾンビダンスもお楽しみに。

(紀平重成 アジア映画ウオッチャー)

公開=8月16日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開。
公式HP=http://www.finefilms.co.jp/theoddfamily/

2019-06-26 6面
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