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2019年05月29日 00:00
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「弾道ミサイル」使わず あいまいな表現に終始
北韓の意向を忖度「洪吉童軍」との批判も

 韓国では、「父を父と呼べない人」を総じて「洪吉童」と称する。韓国軍に対する最近の呼び名は「洪吉童軍」だ。背景に、北韓が韓国を脅かすために発射した弾道ミサイルを、弾道ミサイルと呼ぶことができない現況があるからだ。(ソウル=李民晧)

 今月7日、国防部の定例記者会見で、合同参謀本部(合参)関係者と記者らが、4日に北朝鮮が元山で発射したミサイルを巡り、論争を繰り広げた。当時の合参と記者とのやりとりを抜粋すると次の通りだ。
記者「昨年2月、北韓の閲兵式に登場したKN―02改良型はミサイルですか」
合参「確認の上お伝えします」
記者「KN―02が何であるかは国防白書に記載されていますが(2018国防白書にはミサイルと明記)」
合参「国防白書に記載されている通りと理解してください」

今月21日、青瓦台本館1階の仁旺室。文在寅大統領の招待による韓米軍首脳部の午餐懇談会の様子(写真=青瓦台)
 KN―02は、北韓が旧ソ連のSS―21弾道ミサイルを模倣して造った、射程距離120~200キロの短距離弾道ミサイルだ。記者の質問は18年2月、北韓の閲兵式でこのKN―02を改良したモデルが登場したとみているからだ。
北韓は続く9日、平安北道亀城で弾道ミサイルを発射した。青瓦台と国防部はこのミサイルに対し「短距離ミサイル」と認めたが、弾道ミサイルかどうかは「分析中」との回答に留まり、公式には認めなかった。合参は、北韓が弾道ミサイルを発射すると国防部の番記者らにショートメールで「ミサイル」と送信したが、40分後に「不詳の発射体」と訂正した。
21日には、国軍統帥権者である大統領の口から誤解を招く発言が飛び出した。文在寅大統領はこの日、青瓦台で韓米軍首脳部を招いて午餐懇談会を開いた。その場で文大統領は、最近北韓が発射したミサイルを「短到(たんとう)ミサイル」と述べ、後に「間違えた」と訂正する出来事があった。大統領の発言は次の通りだ。
「韓米同盟の強固さと韓米両国の緊密な共助は、最近北韓の『短到ミサイル』を含む発射体の発射への対応も非常に優れていたと思います」
この発言を巡り、政府が「弾道ミサイル」と判断したのかという質問が飛び交うと、青瓦台はスポークスマンを通し「大統領の発言の中で『短到ミサイル』とあったが、確認したところ『短距離ミサイル』を言い誤ったもの」と訂正した。「弾道ミサイル」と言えば、北韓が国連決議に違反したこととなり、それは北韓の制裁につながる可能性が高い。
そのため、北韓の気分を害するのではないかと政府がヤキモキしているようだ、との指摘が出ている。こうした状況下で、発音も異なる「短距離」を「短到」と言い誤るなど、コメディーさながらの様相となっている。
世界の軍事専門家らは、北韓が4日と9日に相次いで発射したミサイルは「ロシア・イスカンデル弾道ミサイルの改良型」と断定している。しかし、韓国政府だけは「弾道ミサイル」というワードが禁句となっている。北韓軍と最前線で対峙している軍隊ですら、明々白々な北韓の「弾道ミサイル」を「弾道ミサイル」と言うことができないのでは、「洪吉童軍」と批判されるのは当然だろう。現況は、軍内の正論さえ届かない深刻なものといえるだろう。

2019-05-29 3面
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