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最終更新日: 2019-06-12 00:00:00
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2019年05月22日 00:00
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東京測地系→世界測地系 崖っぷちに立つ韓日関係
政治とは異なり民間レベルの交流損なわれず

 韓日関係が戦後最悪の状況にある。
昨年10月30日の徴用工判決後、韓国への経済制裁や国交断絶を求める声が勢いを増している。差し押さえ資産が現金化されれば、日本政府が対抗措置を講じる可能性は十分にある。その意味で、韓日関係は「崖っぷちに立たされている」といっても過言ではない。
憂慮すべきことは、現在の状況を改善する糸口がまったくみえないことである。
朴槿惠前大統領は、李明博元大統領の竹島(韓国名独島)上陸を機に冷え込んだ韓日関係を受け継いだ。関係の改善に「正しい歴史認識」を求めたことに加えて、日本よりも中国を重視する外交を展開したことが関係の改善を阻害した。しかし、北朝鮮がミサイル発射や核開発実験を相次いで行うなかで、中国が制裁に消極的な姿勢をみせたことから、韓米同盟により軸足を置くようになり、これが対日外交の変化につながった。
「ロウソク革命」で誕生した文在寅政権は、保守政権が行ったことの否定(積弊清算)に力を入れた。前政権下での慰安婦合意を事実上破棄する一方、対日外交を担った外務官僚を中枢から遠ざけた。ジャパンスクール育ちの外交官が力を発揮する中国とは異なり、韓国には対日外交を進めるプロが不在である。大統領府に経済民主化を論じる人はいても、経済分析ができないのと似た状況である。
関係改善に悲観的にならざるを得ないのは、文政権の基本的姿勢に変化がみられないからである。徴用工判決後、韓国政府は司法の判断を尊重しつつも、韓日関係に否定的な影響を及ぼすことがないように取り組むと表明したが、現在まで具体策を出してこない。おそらく、出せないのであろう。
文大統領は機会あるごとに「韓国は三権分立の国で判決を尊重せざるをえない」「徴用工判決を政治問題化することは賢明でない」と、あたかも「日韓請求権ならびに経済協力協定」を反故にする発言をしている。
大統領就任当初、歴史問題に関して原則的な姿勢を貫く一方、ツートラック戦略にもとづき協力を進める意向を示したが、結果として、歴史問題に対する原則的な姿勢が関係の悪化をまねいた。問題は原則的な考えを繰り返し表明するだけで、外交問題として処理しないことである。安倍首相が首脳会談に消極的な理由はこの点にあろう。
原則に固執する姿勢は、対北朝鮮政策や経済政策でもみられる。対北朝鮮政策では、文大統領が金正恩委員長に「非核化の意思がある」として、非核化が進展していないにもかかわらず、経済交流再開に前のめりになり、米国の不信感を募らせた。経済政策では多くの副作用(雇用の喪失、格差の拡大、企業の活力低下など)が顕在化したにもかかわらず、所得主導成長政策を続けている。
政治指導者には政治理念が必要である。しかし、必要なことは現実と理念をたえず照らし合わせて、政策を展開することである。残念ながら、文政権にはそれができない。
大統領府が政治理念を共有する人たちで固められているため、原則から外れることを恐れ、現状を自分たちに都合のいいように解釈しがちである。
対日外交に関しても、識者や長老が苦言を呈しても、外交に反映していく姿勢がみられない。以上を踏まえると、韓日関係が早期に改善する可能性は低いであろう。
こうした状況下、日本企業はあらゆる事態を想定して対策を検討しつつ、韓国でのビジネスを粛々と進めていくことが重要である。幸いなことに、経済団体の会合は中止ないし延期になっているが、韓日企業間の信頼関係は損なわれていない。
観光や市民レベルの交流にも大きな影響は出ていない。社会が成熟化したというよりは、歴史問題に翻弄される韓日関係を半ば諦観に近い感覚でみているのであろう。沸騰するメディアと対極である。
(日本総合研究所 向山英彦)

2019-05-22 2面
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