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最終更新日: 2019-05-15 00:00:00
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2019年04月17日 00:00
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【BOOK】『星をかすめる風』(イ・ジョンミョン著/鴨良子訳)
尹東柱をめぐる愛と死の物語 虚構の中の美しい文字の世界

 舞台は第2次世界大戦中の日本、福岡刑務所だ。冷酷な看守かつ厳しい検閲官であった杉山道造が何者かに殺害される。犯人を探すよう命を受けたのは、学徒兵出身の看守・渡辺優一、本書の語り手でもある。手がかりは被害者の看守服から見つかったわら半紙。そこには一遍の詩がきちんとした文字で書かれていた。事件を調査していく過程で、渡辺は尹東柱という囚人と出会う。
本書は、尹東柱と関わることで内なる自分の声にあらがえなくなった杉山と渡辺を描き、同時に言葉が持つ力を訴える。まさに「一行の文章が人々を変え、ひとつの単語が世の中を変える」ほどの力なのだと。
モチーフになっているのは『空と風と星と詩』で知られる詩人、尹東柱だ。同志社大学在学中に治安維持法違反に問われ、1945年2月に獄中死している。本書に引用されている詩で尹東柱の世界に触れることができる。
もしかしたら、ここに書かれている物語が本当にあったかもしれない、いや、あったに違いないとの思いが強くなる。著者が言うところの美しい虚構を十分に楽しむことができる作品だ。杉山を殺したのは誰か、その謎も最後の最後まで読者を惹きつける。
論創社刊 定価=2200円(税別)

2019-04-17 6面
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