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2019年02月27日 08:16
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高麗青磁への情熱―170―(最終回)

金郊工場(五)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画


その頃また、満州のある朝鮮人の会社から何度も私に誘いがあった。子どものままごとのような小規模の工場でなく、満州に来れば存分に資金を出すというのだった。万宝山事件(一九三一年)以後、関東軍が「掃討戦」を展開し、馬賊団は一掃されたから危険はないし、競争相手が来る前に場所を確保しようというのだった。彼らはまた、陶磁器が駄目なら別の事業で金儲けしようと提案した。その頃は、在満朝鮮人はまだ移住して七〇年くらいしか経っていなかった。
しかし、私に満州に来てほしいというのは無理な話だった。この歳まで高麗青磁復活に人生をかけて朝鮮全土を駆け巡り、苦労という苦労を舐めた私である。とにかく高麗青磁一筋に邁進して来たので、それを貫くべきだと思った。
またその後、日本にいる僑胞が訪ねて来たこともあった。朱乙温泉(咸鏡北道鏡城郡)に、日本でも見られない最大の東洋陶磁器工場が建つので、そこの総責任者として働いてほしいと言うのだった。これ以上いい話はないという口ぶりだった。しかし、私はその提案にも首を縦に振らなかった。
 そんな頃、素焼きに釉薬を塗る作業をしているとき、道庁から通知が届いた。新しく赴任した道知事が視察に来たいという内容だったのだ。どうせなら、窯焼き後にしてほしいと返事した。
道知事は宋という四〇過ぎの元気な男だった。宋知事は産業部長と警部一人を同伴してやって来た。挨拶の言葉から朝鮮語を使うので気分がよかった。彼は先ず、轆轤師の高明順氏に朝鮮語で尋ねた。
「あなたはどこの出身ですか?」
「京畿道の驪州です」
「もともと故郷がそこですか?」
「違います。忠清道の瑞山です」
「すると故郷は瑞山だが、育ったのは驪州ですか?」
「そうです」
今度は私に尋ねた。
「窯はどこにありますか?」
窯へ案内して、窯出しを始めた。道知事は製品が一つ一つ出てくるたびに、感嘆の声をあげた。窯出しが終わると、写真屋を呼んで記念撮影までした。
あとで署長と郡守が同席した際に、胸につかえていたことを宋知事に問うた。
「どうして、この工場に道の補助金は出ないんですか?」
すると道知事は間髪入れず、
「このような美術品を作っている工場に補助が出ないのはおかしい……」
と言うが早いか、その場で随行の者を呼び、すぐに補助金を出すよう指示した。私は道知事に窯から出したばかりの作品を何点か贈った。
その後、世の中は戦時体制に入ったが、私の高麗青磁への一途な情熱はけっして衰えることはなかった。(今回をもって一時休載します)

2019-02-27 6面
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