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最終更新日: 2019-01-01 00:00:00
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2019年01月01日 00:00
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【BOOK】「82年生まれ、キム・ジヨン」(チョ・ナムジュ著/斎藤真理子・訳)
女性の人生に立ちはだかるものとは

 1982年(昭和57年)に生まれ、結婚して3年目で1歳の娘がいるキム・ジヨンに突如、異変が起こる。この本は、精神科医のカルテに記載されているキム・ジヨンの人生の記録なのだ。医師は決定的な診断を下すことができず、カウンセリング途中で物語は終わる。その後が気になるが、結末は読者に委ねられる。問題提起という点でドキュメンタリーのようでもあり、最後にちょっとした悪寒が走る点ではホラー小説のようでもある。
82年当時の韓国で、女の子に一番多くつけられた名前がジヨンだったという。日本でいえば、さしずめ佐藤裕子や佐藤愛といったところか。ネーミングの通り、キム・ジヨンは韓国でごく普通の女性の象徴であり、体験する悩みや苦労も決して特別なものではない。しかし、多くの人が経験しているからといって、あって当たり前のこととはならない。
昔の大変な時代に比べれば今は恵まれている(だからそんなことで文句を言うな)と諭される。妊娠や出産に与えられた権利を使おうとすれば、優遇されすぎと非難の的になる。育児に専念すれば、旦那の稼ぎで遊んでいるだけと揶揄される。
それらをすべて気にしない女性がカッコイイとの呪縛にかかってやしないかと、この作品は静かに訴えている。そしてこれは韓国特有の話ではない。
誤解のないように申し添えておくと、この本は決して男性を非難しているものではない。キム・ジヨンを悩ませるのは男性ばかりではないからだ。むしろ、夫のチョン・デヒョンは彼なりに妻を理解しようと努力している。
キム・ジヨンの症状は特異かもしれないが、そこに至る経緯は日常にあふれている。この本は、フェミニズムか否かの踏み絵ではない。お互いの理解を深めるきっかけとなるものだ。
筑摩書房刊
定価=1500円(税別)

2019-01-01 8面
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