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2018年12月12日 00:00
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東京測地系→世界測地系 自壊する恐れ 文在寅政権の経済政策
雇用悪化や投資減速招く

 最近、韓国の文在寅政権はその推進する経済政策によって、自壊する恐れがあるのではないかと考えている。
同政権の経済政策は所得主導型成長、公正な経済(取引の公正化や利益共有制、財閥改革など)、革新成長(イノベーションに基づいた成長)の3本柱から成るが、重点は所得主導型成長に置かれ、それに関連した政策が相次いで実施されてきた。しかし、これまでその成果は乏しく、むしろ雇用環境の悪化や投資の減速など景気悪化の兆候がみられる。
経済状況を十分に考慮せずに、最低賃金を大幅に引き上げた(18年は前年比16・4%増)影響により、飲食・宿泊・製造業などでは雇用者数が前年比マイナスになったほか、低所得層の雇用機会の減少で、所得上位20%と下位20%の格差が拡大した。
雇用創出を最大の課題にした文在寅政権にとっては、厳しい現状となっている。最近の世論調査で、大統領に対する支持率が50%を下回るようになった主因は、経済政策の成果が表れていないことである。
経済界からは、(1)最低賃金引き上げや労働時間短縮など企業の負担が大きいこと(2)政府の介入が市場経済原理を歪めていること(3)政府は革新成長の推進を表明しているが、規制緩和が遅れていることなどの問題点が指摘されるとともに、経済の活力低下に対する懸念が聞かれる。
今年に入り、あくまでも政策理念の具現化を図る張夏成(チャン・ハソン)政策室長と、金東兌(キム・ドンヨン)企画財政部長官・経済副首相との間で、政策をめぐる見解の相違がしばしば生じた。
金経済副首相は経済界や小商工人の声を聴く機会が多いため、最低賃金の引き上げペースを抑えること、革新成長により力を入れる必要があることなど、「現実的な」提案をしたと推測される。
両者の不協和音が大きくなるなかで、11月9日、文在寅大統領は、政策室長と経済副首相をともに交代させる人事案を発表したが、これが経済政策の変更につながる可能性は低い。
このことは、11月1日に行われた文在寅大統領の来年度予算案施政演説でも確認できる。文大統領は「共に豊かに暮らすこと」を目標に所得主導型成長を推進したが、その道のりが遠いことを認めつつも、経済格差を拡大する過去の方式に戻ってはならず、格差を減らし、公正かつ統合的な社会に向けて、これまでの政策を続けていくことを強調した。
文大統領がそうした姿勢をとり続けるのは、(1)成長戦略のパラダイムを転換させたいこと(2)所得主導型成長が政権の看板政策であること(3)この戦略の理論的枠組みを作った洪長杓(ホン・ジャンピョ)、張夏成などの学者が大統領を支えるスタッフとして働いていることなどによる。
また、大統領府秘書室が政治的理念を共有する人材で固められており、内部から見直しを提言する声が上がりにくいことも影響している。
政策の成果が表われなければ、大統領の不支持率が支持率を上回るのは時間の問題である。それが政策見直しの契機となる展開も予想されるが、そうなれば、文大統領を誕生させた労働組合や進歩派からの反発が強まり、政策運営は逆に難しくなるだろう。
すでに民主労組は公約を十分に果たしていない政府への対決姿勢を強めている。
韓国が持続的発展を遂げる上で必要なことは、イノベーション力を高め、高生産性にもとづく高賃金を実現させることである。それを通じて良質な雇用機会を創出しなければ、若者の就職難の解決は不可能である。
文政権の所得主導型成長と公正な経済を実現させるという政治的意思が、経済の現状に対する判断を誤らせ、政策の見直しを妨げている。
こうしてみると、自壊するシナリオが現実味を帯び始めたと言えないだろうか。
(日本総合研究所 向山英彦)

2018-12-12 2面
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