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2018年12月05日 10:16
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高麗青磁への情熱―161―

四人共同経営(一〇)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画


私は黒象嵌や白象嵌に使う土を少々、釉薬といっしょに包み、その足で広亭里に向かった。二〇日あまりそこに泊って二〇点以上の作品を作り、鉄道便で送った。帰る途中、金郊駅(黄海北道金川郡)で降りた。そこに高麗青磁を作っている工場があるという噂を聞いたからだ。ところが高麗青磁どころか甕の類ばかりだった。そこにいた老人が、何しに来たのかねと言いながら笑って出迎えた。
「こちらで高麗青磁を作っていると聞いたので、見学したいと思って来たんです」
「そうですか。ここの資本主は開城に住む金氏で、技術者は韓秀景氏です。経営者がすぐに来るはずだから会って行きなさいな」
「それには及びません」
工場を見学した後、停留所に向かうと老人が追いかけて来た。
「お名前だけでも教えてください」
「柳根瀅と申します。私の履歴については開城の高麗青磁工場の黄仁春君にお聞きください」
数日後、外出から夜遅く帰って来ると、訪問客があったようで、名刺が一枚置いてあった。朝鮮民俗陶磁器組合の韓秀景だった。その名刺の裏には小さな字で次のように書かれてあった。
『先生にお会いしたくてやってまいりましたが、お会いできず残念ながら帰ることにします。明日またお伺いしますので、ご多忙でも正午まではお待ちくださるよう、お願い申します』
彼とは会ったことはないが、以前からその名は聞き及んでいた。開城博物館助手をしていた人である。
彼は翌日の朝一〇時過ぎに訪ねてきた。
「柳先生のことは以前からしばしばお聞きしていました。以前からお会いしたく思っていましたが、住所がわからずにいました。この前、工場にいらっしゃったときに開城の黄仁春氏のことをおっしゃいましたので、その黄氏から聞いてやって来ました。失礼ですが柳先生、現在特別なさっている仕事がおありでしょうか?」
「いいえ、とくにありません」
「それでは生計の方はどうなさっておられます?」
「元来身につけた技術が高麗青磁しかないので、風呂敷包みをかついで田舎の工房などを訪ねながら作陶していますよ」
「それでしたら、当分の間だけでも私どもの工場にいらっしゃって、お仕事をなさいませんか?」
「そうですね」
「ご心配なさらず、今すぐに出かけましょう。柳先生のお陰で工場が上手くいけば、先生の功績はけっして忘れません」
私は韓秀景と共に再び金郊に向かった。そして彼の案内で工場をひと巡りしてみたが、この工場はどこもかしこも無秩序で、何からどう手を付けてよいのか分からないという始末だった。

2018-12-05 6面
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