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最終更新日: 2019-04-24 00:00:00
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2018年12月05日 09:59
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韓国スローフード探訪5 薬食同源は風土とともに
アツアツ手作りマンドゥでほっくり

 晩秋になると、韓国は気温もマイナスになることもしばしば。寒さが厳しいほど、キムチも鍋料理もより美味しさが増してくる。特に、野菜や肉がたっぷりと入ったマンドゥが恋しくなり、真冬を前にした初冬のソウル散策へと自然に足が向く。
韓国に行き始めて間もない晩秋のころ、ソウル市内にある梨花女子大の正門近くに粉食と書いてあった店で、初めてマンドゥを食べた。
韓国人の知人からマンドゥは韓国風餃子と教わっていたので「餃子だな」と、普段食べているものを想像していた。しかし「これが餃子?」と、出された大きさにもうビックリ。子供のにぎりこぶし大ほどあって、しかも焼いたものではなく蒸したものだった。
アツアツのマンドゥで冷えた体もすっかり温まり、それ以来、冬の韓国で食べるマンドゥが楽しみとなった。マンドゥ入りカルククス(韓国風うどん)はもちろんだが、欠かせないのがマンドゥ鍋だ。
ソウルを代表する観光スポットとして知られる仁寺洞。メインストリートから縦横に路地が続き、伝統家屋を利用した飲食店が並び韓国版おふくろの味に触れることができる。
 マンドゥ鍋を目当てに立ち寄る店も、迷路のようなところにある。たまたまその店の前に、有名な伝統茶院と美術館があって、その帰りに立ち寄ったのが最初だった。
創業したのは、開城(北朝鮮)出身のおばあちゃん。初めて店に行ったころは誰よりも見事な手さばきでマンドゥを作り、陣頭指揮を執っていた。
「子供のころ毎日のようにおやつで食べていてね。同じように子どもに作っていたものを、多くの人に食べてもらおうと思って店を開いたんですよ。毎日食べても飽きないものを、昔ながらに作っています」と、生前話していたのを思い出す。
開店時間前に店へ行き、窓ごしにマンドゥ作りを見ていたことがある。下ごしらえをした山のような具を、目分量で的確に皮に包んで半月のような形にしてから、端と端を合わせて丸い形にしていく。具の中身は、豚のひき肉、白菜、ニラを細かく切ったもの、それに豆腐。さらに隠し味に少しだけキムチも入って栄養価も高いはず。毎日食べても飽きがこないのは、豆腐とたくさんの野菜を使っているためだと納得した。そういえば、マンドゥは中国から伝わったものかとおばあちゃんに聞いてみたことがある。おばあちゃんは首をかしげながらも「詳しくは分からないけれど、中国のパオ(包)に似ているからそうかもしれないね」と話してくれた。
マンドゥを入れた鍋となると、さらに栄養価が増してくる。エノキ茸や長ネギなどの野菜、蒸した牛肉の薄切り、それに大きなマンドゥを加え、牛でとったダシ汁にピリ辛味を加えた汁で煮込む。マンドゥを取り、汁をかけながら4等分ほどの大きさにして食べるのだが、野菜の旨みとダシ汁、マンドゥの旨みがすべて溶け合い申し分のない味。食べるほどに、ジワッと体のすみずみまで旨みが行きわたり、寒さで固くなった体がほっくりとほぐれる。まさに至福の時である。
マンドゥを食べるたびに思うのだが、ニラや豚の挽肉など具材をケチらずに、たっぷりと使っていることにとても感心してしまう。このたっぷり感が心も満たしてくれるのだ。そして、「自分の子供に食べさせるような思いで作る」といったおばあちゃんの言葉にこそ、「食べることは健康を作ること」という願いが込められているのだろう。
カプサイシンの力で血行が良くなったから、明日はきっとツルツル肌かも知れない。もしかすると美容効果も期待できそうだ。
新見寿美江 編集者。著書に『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTB刊)などがある。

2018-12-05 5面
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