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2018年09月27日 00:00
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【映画】『鈴木家の嘘』(日本)
長男の死をめぐる優しい嘘

鈴木家の面々©松竹ブロードキャスティング
 長男の急死によって起こった家族の混乱と再生をユーモラスに描いたヒューマンドラマ。
鈴木家の長男・浩一が亡くなった。ある日突然、自らこの世を去ったのだ。浩一の死を目の当たりにし、ショックのあまり倒れた母・悠子は、病院に運ばれたが、意識は戻らない。
そんな中、父・幸男と長女・富美はそれぞれのやり方で、家族の死と向き合おうとしていた。
浩一の四十九日が過ぎた頃、悠子の意識が回復したとの知らせが届き、病院へ駆けつける幸男たち。しかし、長い眠りから覚めた悠子は、浩一が死んだことを覚えていなかった。
「浩一は?」と尋ねる悠子に、富美が「お兄ちゃん、ひきこもりをやめたの。アルゼンチンで働いている」ととっさに嘘をついてしまう。
そして、幸男はチェ・ゲバラのTシャツを原宿で探し、富美は浩一になりかわって手紙をしたため、親戚たちも巻き込んでアリバイ作りに奔走する。それは全て、母の笑顔を守るための優しい嘘だった。
監督は自身の経験をもとにしたオリジナル脚本で挑む野尻克己。これまで橋口亮輔、石井裕也、大森立嗣といった名監督たちの助監督を務めてきた野尻だが、本作が長編監督デビュー作となる。
キャストは、鈴木家の家長である父・幸男役に岸部一徳、母・悠子役に原日出子、長男・浩一役に加瀬亮、長女・富美役には、木竜麻生。また、幸男の妹・君子役に岸本加世子、悠子の弟・博役に大森南朋。日本映画を代表する演技派俳優たちが顔をそろえた。
本作は家族の死という悲しみから始まるものの、あたたかさに満ちあふれた作品だ。死というシリアスなテーマの中に、ふんだんにユーモアが盛り込まれ、観ていて笑ってしまう。
家族の平穏を保つために生まれた優しい嘘だが、長くは続かない。その時、スクリーンの中で描かれる鈴木家の姿から、生きる力を受け取った。
(宋 莉淑 ソン・リスク/文筆家)

公開=11月16日(金)より、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開。
公式HP=http://www.suzukikenouso.com

2018-09-27 6面
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