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最終更新日: 2018-12-12 00:00:00
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2018年09月27日 00:00
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【映画】『ファイティン!』(韓国)
孤独な心の癒し場所を求めて

アームレスレスリング王座を目指すマーク©2018Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
 ペ・ヨンジュンやイ・ビョンホン、カン・ドンウォンといった誰もが認める美男子俳優が主演する映画は数多くあるが、最近目立つのはこれまで名脇役と言われてきた俳優にスポットライトを当て、それが功奏しヒットするという流れである。言い方を変えれば、顔の良しあしといった一面的な基準ではなく、実社会での豊富な経験がにじみ出る個性豊かな面構えを尊ぶという傾向である。「新感染 ファイナル・エクスプレス」や「犯罪都市」で存在感あふれる演技を披露したマ・ドンソクがまさにそれだ。
生まれてすぐに韓国からアメリカへ養子に出され、両親の顔を知らないマーク。腕っ節の強さを生かし、アームレスリング(腕相撲)のチャンピオンを目指していたが、トラブルに巻き込まれクラブの用心棒の仕事を失う。
そこで出会った口の達者なスポーツマネジャーのジンギに誘われ、韓国でアームレスリングの王座を目指すことになる。一方、マークは帰国して早々、産みの親の家を訪れるが、両親はすでに他界し、そこには見知らぬ妹とその家族が暮らしていた。
なにしろ腕周り50センチの上腕筋が遠くにいても目立つのだから、試合はもちろん、やくざに絡まれても敵なしの勢いで勝ち続けていくのは当然。その強いはずのマークが終始眉間にしわを寄せ、浮かぬ顔でいるのは人にやさしくされた経験などないからだろう。
チャンピオンを目指すマークの激しいバトルと並行して、孤独な彼が心を癒すことのできる場所を見つけていく姿を温かく見守っていく。
この作品の面白さは、マッチョな体型のマークがその腕力をいかんなく発揮して期待通りの強さを見せつけていくという面ももちろんあるが、むしろ細やかな気遣いをしたり時折はにかむ際の笑顔が愛らしいなど、見た目とはミスマッチな姿が新鮮な魅力になっている。コワモテの彼が必死で抑えつけているのは、今にも噴出しそうな情念の塊のように見える。
マークを演じるマ・ドンソクのことをファンたちが「マ・ドンソク」と「ラブリー」を掛け合わせてつけた彼の愛称「マブリー」がたちまち広がったことにも、それが表れている。俳優になるまでに格闘技のトレーナーやバーテンダー、皿洗いなど多様な仕事を経験したという。生活のためという理由ももちろんあるだろうが、俳優になるときにそれらの仕事が役立つと信じて将来の夢を持ち続けたことがいま生きているとは言えないだろうか。結果としていま韓国映画界でもっとも客を呼べる俳優の一人になった。
マークは勝ち続ける。彼にとってそれは単なるアームレスリングではない。そのぶっとい腕はいつ壊れても仕方のない弱々しい家族を結びつけて再生させ、あるいは自らの居場所を見つけるための頼りになる腕でもあるようだ。
主人公を演じたマ・ドンソクはもちろん、妹役のハン・イェリや子役二人の芸達者ぶりに感心させられる。
(紀平重成 アジア映画ウオッチャー)

公開=10月20日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次公開。
公式HP=http://fightin.ayapro.ne.jp/

2018-09-27 6面
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