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最終更新日: 2018-12-12 00:00:00
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2018年09月20日 00:00
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高麗青磁への情熱―151―

咸北陶磁器工場と私(五)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画


火の調節だけ見ていればよかったから、楽な仕事だった。社長の家の食客となったのだが、使用人はもちろん、家族も私を尊敬してくれた。月給は百円で、家には月に三度帰った。
そんな頃、工場に帰っていたある日、崔勉在氏が京城に行ってきたと言いながら、私に会いに来た。
「黄氏も辞めたらしいね」
「黄氏って?」
「山水亭で働いていた黄氏ですよ」
「ああ、わかります。黄仁春君のことでしょう」
「共同経営とは難しいものです。朝鮮人でも日本人でも、野心のみなら長続きしないもんです。黄君と共同経営者だった風岡という男が一人でやりたいという野心を持ち、自宅に工場を移して一人で経営しているという噂を聞きましたよ」
 「欲張るからですよ。間もなく損ばかりして工場をたたむことになるでしょうよ」
「だから、柳先生も自力でやるべきですよ」
「いずれそのときがやってくるでしょう」
咸北陶磁器工場に入ってからは、これまでのところ別段大きな心配事はなかった。豊かな生活はできなくとも、家族が食べるには問題がなかった。だが私には冬が頭痛の種だった。体質上寒さに弱く、極寒の地で過ごすことを思うと心配でならなかった。
ソウルの家に戻ったときなど、会寧に帰るのが億劫だった。寒かろうとためらっているうちに三、四日が過ぎた。しかし私の来るのを待っていると思うと、どうしても行かざるをえなかった。
とうとう翌年の春、私は工場を辞める決心をして、社長に言った。
「社長さん、もう辞めようと思っているのですが……」
「お辞めになるって?」
突然の申し出に驚き、目を丸くした。
「どこか他にいいところでもあるのですか?」
「いいえ、次の仕事はとくに決まっていません」
「それじゃあ、もしかしてお手当てが少ないからでしょうか?」
「とんでもありません。私はこれといったこともしていないのに、どうして月給のことなど言う資格があります?」
「もう決心なされたのですからお引き留めしても仕方ないでしょうが、柳先生のいない工場のこれから先のことを思うと心配でしてね……」
「社長さん、私は他人に損害を与えたり迷惑をかけたりしません。きちんと火の専門家を一人育てて、その者が完全に一人立ちできるようにしてから辞めることにします」
「ありがとうございます。柳先生は心のきれいな方ですから、いつかきっと成功しますよ」

2018-09-20 6面
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