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最終更新日: 2018-11-11 13:48:37
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2018年06月27日 00:00
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高麗青磁への情熱―143―

青磁の自営(二)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画


川﨑は漢陽高麗焼の現場にいるとき、窯出しのたびに一等品を一個ずつ手に入れていた。永登浦の大塚が高麗青磁の好事家であったので、彼に斡旋することになった。そこで、永登浦に工場が建ったのである。
しかし、李王朝でも作れなかった高麗青磁が、永登浦で出来るはずもない。大塚は二年間無駄骨を折り、川﨑に日本に行ってこいと旅費まで与えたが、川﨑は日本には行かずに麻浦刑務所に入った。その刑務所で青磁でも三島でもないしろものを作り、釈放されると仕方なく日本に一目散に逃げていってしまったのである。
 私が永登浦で高麗青磁を作るようになったのも、大塚のところに放りっぱなしの工場があったためである。それが大正一五(一九二六)年の春だった。
その年の冬、年号が替わり昭和元年となって黄仁春君が山手町に工場を持つようになった。黄君の工場は、高麗青磁に関心のある日本人の風岡によって日の目を見た。この人は黄君が高麗青磁工場に長くいたのを知っていて、彼と手を結んで山手町に工場を建てたのだ。とにかく工場二つが朝鮮人の手で建ったのだ。
私は先ず原料を大阪の草葉商店に注文した。既成の工場があったおかげで、私は黄君より一足先に作品の製作にとりかかれた。その頃、本町二丁目に住む津村が私を訪ねてきた。
彼は韓屋(朝鮮式の瓦屋根の家)の珍しい三階建ての料亭「朝鮮館」の主人で、四〇歳を少し超えたばかりの壮年であり、体つきががっしりしていた。私に、なぜ今になって高麗青磁を作り始めたのかと聞きながら、作品が出来しだい自分にだけ売って欲しいと頼み、帰っていった。
津村は私の工場から生まれる作品を奪うようにして買っていったが、数はまだ不足なようだった。それでか、約束をしておいても安心できないようで、窯を開ける日は早朝からやってきて待っていた。他の商店に洩れることを心配していたのである。
山手町に建てられた黄仁春君の工場は私の工場から近いので、風岡もよく知るところとなった。彼はもともと平安北道江界の辺鄙な村の駐在所に勤務していた巡査である。巡査部長になってから恩給が付くと辞表を出し、ソウル永登浦に来ると、果樹園を持つ家の婿養子になり、一方で大阪毎日新聞支局に勤めた。彼は朝鮮人も知らなかった高麗青磁を好んだ。
私が窯を焼く日ともなると彼は飛んできて、試作品を入れて欲しいと頼むのだった。私は彼の頼みを喜んできいてやった。誰であれ、高麗青磁を研究する者なら積極的に支援してやりたかったからだ。風岡は自分の工場の窯焼きのときや、私の工場の窯焼きのときにいつも試作品を入れるので、研究に大きな助けとなった。

2018-06-27 6面
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