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2018年05月03日 00:00
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高麗青磁への情熱―138―

新案特許(九)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画


「遠いところからわざわざ、どうも相すみません」
三浦弁護士がまず挨拶をした。
「どういたしまして。三浦さんは内容証明を通して存じ上げていますが、初めてお会いします」
「お互い様ですよ。あ、そうそう、中村さん、京城から柳さんがいらっしゃったよ。挨拶をどうぞ」
中村が私の前に来た。
「中村と言います。私のせいで損害が大きかったとのこと、ほんとうに申し訳ありません」
「いや、申し訳ないなんて。ただ損害さえ弁償していただければそれでいいんですから」
「損害額はどのくらいになりますか?」
「八千円です」
「八千円?」
 中村はひどく驚いた表情を見せた。
「それほど驚くこともない。被告が精いっぱいのところ、いくら出そうと言えばよろしい」
岡田検事の言葉だった。そう言われて、中村と三浦弁護士は怖い顔つきをしてヒソヒソ話を交わした。三浦弁護士が口を開いた。
「この人の経済状態では、八百円しか出せないと言っています」
「八百円? 損害額の一〇分の一だけ出すということですな。そんなにまでケチるなら、私は法廷で闘います。岡田検事さん、起訴して下さい」
「柳さんが起訴してくれと言うなら、しますよ。しかし、裁判というのはそう生易しいものじゃない。負けた、勝ったといっているうちに時間ばかり食ってお互いに損をする。だから、そこは穏当に解決してしまいましょう」
「しかし、八百円というのだから、話になりませんよ」
「その人の実力でそれくらいにしかならないのなら、仕方がないだろう」
私が反論しようとすると、三浦弁護士が口を挟んだ。
「昼の時間にもなりましたし、めしでも一緒にしながら話し合いませんか」
「私は遠慮します」
「まあ、そうおっしゃらずに一緒にしましょう。昼食代は中村さんが持つと言っておるんで……」
岡田検事もあちらに付いていた。彼らの頼みをそれ以上断りきれなくて、従うことにした。いろいろな料理が出されたが、私は食事などはほどほどにしてまた検事局に戻った。
「さあ、結着をつけることにしましょう。食事中にも言いましたが、八百円以上はとうてい出せないと言うから、その線で手を打ってはどうかね?」
三浦弁護士が提案した。
「その額で収まるのなら何も告訴などしなかったよ。八千円の一〇分の一では、どだい話にもならないですよ。こうして言い合っていても解決は難しいようですから、法律どおりにやりましょう」

2018-05-03 6面
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