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最終更新日: 2018-08-15 00:00:00
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2018年01月31日 00:00
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高麗青磁への情熱―125―

苦心の末の成果(一)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画

 その日、仕事を始めて一時間ほどして、工場の前に車の止まる音がした。誰かが大声で喋りながら中へ入ってきた。従業員と千恵子らは一斉に立ち上がって挨拶した。その男は周りをぐるっと見まわし、私に目を留めた。
「チョーセンジンとしては、上品だな」
一体どこのどいつが何を言うか、とばかりに私はその男に向かいあった。五〇を少し越したばかりのその男は、がっしりとした体つきの美男子で貴公子然としていた。
 「君はチョーセンジンというが、生まれはどこかね?」
私は頭にきて、朝鮮語で応えた。
「イノムセッキ、ナップンノム」
「何? わからん言葉を使うな」
「何だと? 知りたいのか? 日本語で言ってやるよ。この野郎、悪い奴と言ったんだ」
「何? 客に向かってそんな失礼な言い方があるのか」
「客だって? なるほど。確かにあんたは工場の主人の客だが、私には何の関係もない」
「何だと? 君は工場の職工じゃないのか?」
「職工には違いないが、この工場の職工じゃない」
「何を生意気な」
「生意気という意味を知っているらしいが、どんな時に使うか、どうも使い方を知らんらしいな」
男は怒りを抑えきれずハア、ハアと息をはずませ、どうしていいかわからず、ただ顔を赤くしたり青くしたりするばかりだった。
「これまで、こんな侮辱を受けたのは初めてだ。あんたも青二才のチョーセンジンから莫迦にされたのも初めてのことだろうよ。でも私が侮辱されながらも、あんたがこうして無事に立っていられるのは、あんたが偉いからじゃない。私の国・朝鮮が『東方礼儀の国』だからだ。あんたが、私より年輩だからさ。もしあんたが私と同年輩なら、首がひん曲がるくらい殴りつけてやるところだ。
人間には時と場所があり、それに良心というものがある。その時の地位や境遇だけでむやみに人を侮辱するんじゃない。今はあんたたち日本人から差別され、侮辱されているが、いつまでもあんたたちから莫迦にされる民族じゃない。朝鮮が植民地になったのは為政者が悪いとか、人材がいなかっただけじゃあない。すべて国運、国の運というものなんだ。
地球は休みなく回っている。朝、太陽が昇れば、東は日向で西は日陰だ。だが、日陰はいつまでも日陰じゃない。夕方になると、日向と日陰が入れ替わるんだ」
一言一句噛みしめながら言ってやった。山本という男は終始、いらいらしながら息を弾ませていた。

2018-01-31 6面
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