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最終更新日: 2018-01-17 00:00:00
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2018年01月01日 00:00
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高麗青磁への情熱―122―

千恵子と私(九)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画

 「先生のおっしゃられることは易しいけれど、そんなに簡単にできて?」
「じゃ、ここに上ってきて、鎖を掴みなさい」
私は千恵子を遊動木の端に乗せた。そして彼女の方へ近づこうとした瞬間、彼女が私の方へもたれ、そのまま倒れてしまった。私は彼女を抱いて足袋を脱がせ、足を揉んでやった。よく見ると青い痣ができている。
これは、千恵子が私に接近するための作戦であったようだ。夕方、車が来て、私が彼女を支えるようにして車に乗せてあげなければならなかった。彼女は車に乗るときも私に抱きつくようにしてもたれ、降りるときも同じだった。こんなことが何日か続いて、彼女を抱いて家に入ろうとしたとき、私を見上げながら言うのだった。
「先生、私、今とっても幸せだわ」
このセリフをはじめて聞いたときはどぎまぎしたものだったが、何回か聞いていると別段神経を使うこともなくなった。女のただの習性であろうと思い気にかけなくなった。
夜、陶磁器に関する本をめくっていると、千恵子から来てほしいとの伝言があった。
「先生、このように座ったままでお呼びつけしてすみません。私、いま少し体の具合を悪くしてしまったので、このような失礼をするしかなかったのです。すみません」
「何か特段の話でも?」
「話って別にありませんけれども、私をお風呂場まで連れていって下さればと思って」
それを聞くと、気分が悪くなった。この俺がどうして、この家の召使いなのか、といった思いがして暫くはためらっていた。
「先生、お許し下さい。私が誰に向かってこんなことを言えまして? 兄に頼めまして? 家政婦に頼めまして? 私は先生を一番近いお方だと思っているからこそ、失礼なことを頼むのです。お怒りにならないで下さい。どうかわかって下さい」
千恵子が私に体をもたせかけた。私はふいを打たれ、仕方なく彼女を浴室まで抱いて連れていった。
「先生も、一緒に入って下さいます?」
「いや、それは出来ない。私は朝風呂が習慣なので、夜は入りたくないんだ」
私は背を向けて、そこを出た。
「先生」
「何ですか?」
「先生が行ってしまうと私、お風呂から上ったときどうしましょう。このまま部屋には戻れません」
「終わってから呼んでくれれば、すぐに来ますよ」
「それじゃ、本当に信じていいんですね」

2018-01-01 13面
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