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2017年12月13日 00:00
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高麗青磁への情熱―121―

千恵子と私(八)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画

 先ず、壺の表面に龍の絵を描いた。その上に龍の形をていねいに彫刻した。そばでは、秋子が私のやるのを食いいるように覗きながら見よう見まねで、一心不乱に彫刻していた。
「先生、タバコでも吸いながら、ゆっくり休み休みなさってはいかがでしょうか?」
その言葉に甘えてタバコを吹かしながら隣を見ると、夢中で彫刻の手を動かしている秋子の頬がまるで牡丹の花のようにふっくらとしていて美しかった。私はいつもの癖で、思わず彼女の頬を〓んで揺すった。向かい側に主人の千恵子が座っているせいか、秋子は痛がる様子も見せず、ただ上気した顔つきで私を見つめているばかりだった。その後、花も恥じらう芳紀一八歳の秋子は、いつも私に秋波を投げかけるようだった。
 休憩時間に私が鉄棒や遊動木で時間を過ごしていると、秋子と春江がいつも見物にやって来た。彼女たちは私の妙技を見ては、しきりに感嘆の声をあげた。こんな技を見るのは初めてらしかった。
そして二人は、私に高麗青磁の技術について尋ねるのだった。
「難しいことはない。何でも難しく考えると、ますます難しくなるんだ。だから、私には三つの心構えがあるんだ。先ず、絶望はしないで何でも成せば成るという信念を持つ。二つ目は、忍耐だ。どんな難関や逆境にあっても耐えなければならない。三つ目が一心不乱にやることだ。一度始めたことは終始一貫することだ。この三つの心構えを、私はいつも胸の奥深いところにしまってあるんだよ」
そばで聞いていた千恵子が、笑いをこらえながら言った。
「その心構えを胸にしまって一〇年も高麗青磁を研究なさった方が、どうしてまだ成功できなかったなぞと、おっしゃるのです?」
「いや、恥ずかしながら、まだ成功していないんだ。道はまだまだ遠い。私があまりに鈍いせいでしょう。でも、一途にやり通すという一心だけは、ずっと変わりありません」
だが、千恵子や鈴木までも私のこの言葉を信用しなかった。私としては「高麗青磁」の奥義はまだまだ遠いと思っていたからだ。この工場になかった鉄棒と遊動木を備えたのもすべて、私の歓心を買うためだった。また、娘さんたちを使って何としても私の気を惹き、工場に足を留めさせようとする彼らの気遣いを、私はわかり始めていた。
翌日、休み時間に遊動木で遊んでいると、千恵子が走ってきた。
「先生、私にも少し教えてくださいな」
「これは別に教えるほどのもんじゃないよ。要領さえ上手にやれば誰でもできるよ。

2017-12-13 6面
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