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2017年12月13日 00:00
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【映画】『殺人者の記憶法』(韓国)
認知症の元連続殺人犯が娘のため記憶と闘う

自らの記憶と闘うビョンス(ソル・ギョング)。©2017 SHOWBOX AND WPICTURES ALL RIGHTS RESERVED.
 ソル・ギョングは、出ているだけで観客を呼べる稀有な名優。しかも、演じるのはアルツハイマー病で記憶を失いつつある元連続殺人犯という難役だ。消えゆく記憶と闘い、彼の前に現れた新たな連続殺人犯の行方を追ううちに、逆に絶体絶命の窮地に立たされる。
原作は人気作家キム・ヨンハの同名小説。いまは一人娘のウンヒ(キム・ソリョン)と平穏に暮らすビョンス(ソル・ギョング)は元連続殺人犯。アルツハイマー病が徐々に進行し、記憶をサポートするため、毎日の出来事を録音していた。ある日、車の接触事故を起こし、名刺を渡した相手の男テジュ(キム・ナムギル)に自分と同じ目つきを感じ取り、彼を殺人犯と疑う。 そのことをビョンスは友人のビョンマン署長(オ・ダルス)に伝えるが、逆にテジュは娘のウンヒと付き合い始める。やがて新たな連続殺人事件が始まり、ビョンスは娘の身を案ずる。自分の話を真に受けない警察の対応にいら立ったビョンスは単独行動に走り、かえって疑いの目を向けられる。記憶が途切れがちな彼に、冷酷な殺人犯と渡り合う力はあるのだろうか。
作品は「殺人」を描いているが、比重は間違いなく「記憶」に置かれている。ビョンスは過去に激しい車の横転事故でアルツハイマーになったという設定だが、脳血管性認知症の方が当てはまる。また認知症の彼に、テジュが殺人犯だと認識する能力はあるのだろうか。記憶はなくても体が覚えているという認知症の特性を考えれば、その能力はあるとも言えるし、ないと言ってもおかしくない。さらにビョンスが、なぜテジュと闘っているのかを忘れないよう必死に記憶に留めようとしている姿も見ごたえがある。まさに記憶との闘いである。
ソル・ギョングは「演じるのが難しそうだから出演を決めた」という。その意気込みを表すように体重を10キロ以上落とし、首をしわしわにして老人らしさを出し、カメラの前に立った。逆にキム・ナムギルはウォン・シニョン監督の指示で14キロ太って出演、そこにいるだけで不気味さを感じさせる迫力を見せた。
「ペパーミント・キャンディー」「オアシス」「力道山」と出演するごとに多彩な役を演じて「カメレオン俳優」の呼び名もあるソル・ギョングと若手キム・ナムギルの競演を楽しみたい。
(紀平重成 アジア映画ウオッチャー)

公開=18年1月27日よりシネマート新宿ほか全国順次公開。
公式HP=http://www.finefilms.co.jp/kiokuho/

2017-12-13 6面
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