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2017年12月01日 00:00
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高麗青磁への情熱―120―

千恵子と私(七)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画

 彼ら三人が同時に言った。
「残念な気持ちは、私も同じです」
「で、いつ頃お発ちになりますか?」
「そうですね。何日とは申し上げられません。こちらに来てひと月あまり、皆さんから物心両面にわたって大変お世話になりました。それにお応えする意味でも、作品を何点か作ってから帰ろうかと思います」
「どんな作品でしょうか? それが出来上がるまでですか」
鈴木が尋ねた。
 「そうですね。私の構想しているものは、やはり何か月かかかりますね」
「それではお宅に生活費でもお送りしなければならないでしょう……」
「心遣いはありがたいですが、その必要はありません。私の家ではいつも半年分の生活費は準備してあるんです」
「それではご家族の方は心配いりませんね。ではその作品のためにも早く行きましょうか」
工場は車で二〇分ほどのところにあった。正門には「京都高麗焼」という看板がかかっていた。われわれ一行が工場に入ると、従業員の女たちがいっせいに起立して深々と挨拶をした。千恵子が彼女たちを一か所に集め、私を紹介した。
「この方が、朝鮮で有名な柳根瀅先生です」
紹介が終わるか終わらぬうちに、彼女らはまたいっせいに頭を下げた。
ゆっくりと工場内を見回すと、従業員は女性ばかりであるようだった。主人の千恵子が女だからであろうか。その中に、五〇の峠を少し越えたくらいの男が一人交じっていた。おそらく小使いだろう。
それから、われわれは工場の施設を見て回った。内はどこも完全に整えられていたが、工場はいたって小規模だった。轆轤工二人、彫刻工五人、雑役夫三人の都合一〇人の従業員のみだった。
私はまず、作業準備のためにあちこち見回ってみた。陳列しているものの中にはいろいろな形の作品が並んでいた。龍の模様を浮き彫りにした梅瓶もあり、またくぼむように彫った梅瓶もあった。浮き彫りやくぼみ彫りできれいに作られたいろいろな作品を見たが、象嵌したものは見受けられなかった。
父の代に作られたという作品群も、私の目からは高麗青磁にはほど遠かった。しかし、この場でそれを言うには及ばない。私はただ彼らの好意に応えれば、それでいいのだと自分に言い聞かせた。
轆轤室にいる二人のうち春江という娘が、比較的技術があるように思われた。さっそく彼女に丸い形の壺を一〇個作らせたところ三日かかり、それを完全に仕上げるのにさらに三日かかった。それらを乾ききらないように地下室に貯蔵し、そのうちの一個を取り出して、仕事に取りかかった。

2017-12-01 6面
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