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2017年11月01日 00:00
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編集余話

 「朝鮮交接の儀は、第一に人情・事勢を知り候事、肝要にて候 互いに欺かず争わず、真実を以て交わり候を、誠信とは申し候」。儒学者・雨森芳洲が、対馬藩主に上申した対朝鮮外交の指針書『交隣提醒』の一節だ(長浜市郷土学習資料より)▼地政学が今より単純で苛烈だった時代のことである。芳洲が仕えた対馬藩は、朝鮮と日本の間に位置していた。両国の懸け橋として栄える一方、ひりつくような板挟みに悩まされたこともあった▼有名なのが国書偽造事件だ。徳川の世になり、朝鮮との国交を再び結ぼうと考えた家康は、対馬の宗家に遣いを依頼。朝鮮側から「家康の謝罪」を求められた宗義智は、国書を偽造して家康が謝罪した形にし、朝鮮通信使の派遣を実現させた▼芳洲が対馬藩に仕えたのは、この事件が露呈した後のことだ。「互いに欺かず争わず」という言葉が出てきたのは、そのためだろう▼ユネスコの世界記憶遺産に、朝鮮通信使が選ばれだ。韓日双方で登録に向けた動きがあり、資料を集め、英訳して共同で提出した。官民挙げての宿願である▼一方で、従軍慰安婦に関連する資料の登録は見送られた。痛ましい歴史の1ページであるが、韓日両国の合意で、「国際社会で互いに非難・批判を控える」と約束している。しかし韓国外国部の報道官は、合意には反しないとの立場だ▼泉下の芳洲が聞いたらどう思うだろう。間に挟まれた者として、「真実を以て交わり候」ことの大切さを説くに違いない。

2017-11-01 1面
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