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2017年09月22日 02:13
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高麗青磁への情熱―110―

京都行(二)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画

 「それで、どうして私を訪ねてこられたのでしょう?」
「私は京都の鈴木さんの使いで来ました」
「すると、鈴木さんは私のことをどうしてご存知なんでしょうか? 私に会いに来られたのですから、汚いですけど、どうぞ中へお入りください」
彼は私について部屋に入った。
「ひょっとして外出でもなさっていたらと思って早く出たのですが、早すぎてすみません」
「どういたしまして。ところで朝鮮には何度もいらっしゃるんですか?」
 「いいえ、今度が初めてです」
「それにしてはここがすぐにわかりましたね?」
「あ、はい。鈴木さんが、京城駅構内の案内に訊けばわかると言われましてね。それで駅に着いてすぐに尋ねますと、難なくわかったんですよ。いかがですか? お忙しくはありませんか?」
「ええ、別に忙しくはありません」
「では京都見物も兼ねて向こうへ出かけてみませんか? 鈴木さんの招きもあることですし、金もかからないで見物できるんですから、そんなに深刻に考えなくともいいですよ」
「お言葉はありがたいのですが……」
いろいろな疑問が脳裏を駆け巡った。いったい、鈴木なる人物がどうして私のことを知ったのか。いくら考えてもわからなかった。ひょっとして、私の技術を盗もうとする謀(はかりごと)じゃないだろうか。だとしたらどうしよう? あるいは騙されたと思って見物がてら行ってみようか。いや、そんなことをして思いもよらないことにでもなったらどうする? それでも何とかすべはあるだろう。毎日、家にいても心ばかり傷んでどうしようもないのだから……。
私の揺れ動く気持ちを見透かしてか、上原は、
「そんなにためらうことでもないでしょう。一緒に行きましょう」
と少し強引に言うのだった。
「ええ、それにしても、京都まで行くとしたらどうしても、母の許しを先ず得なければなりません」
私は母の部屋に行き、来客の突然の訪問と京都行の話をした。
「あたしに訊いてどうするの? 自分の思うままにしなさい」
「でも、オモニの許しなしにどうして自分勝手なことが出来ますか?」
「おまえに損なことでなければ行ってみなさい。一〇年間さんざん苦労を嘗めながら研究して、やっと技術を身につけたのに、いつも家の中に閉じこもってばかりいたんだから。思い切って行ってみなさい。人の世はわからないものよ。ひょっとして、資金を出してくれる人が現れるかもしれないでしょ」

2017-09-21 6面
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