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2017年09月14日 08:09
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【映画】『わたしたち』(韓国)

 夏休み明けの小中学生による自殺のニュースがメディアで取り沙汰されているが、本作はその主な原因と思われる「いじめ」を正面から描いている。
昨年の第17回東京フィルメックスで上映され、観客賞など3賞同時受賞に輝いた作品(映画祭上映時のタイトルは「私たち」)は、ユン・ガウン監督が、自身の経験をもとに、友情が裏切りに変わり、葛藤しながら成長していく子どもたちの姿を描いたドラマだ。
人と付き合うのが苦手な小学生の少女ソン(チェ・スイン)は、1学期最後の日に転校生のジア(ソル・ヘイン)と知り合う。ためらいながらも声をかけると、ジアもホッとしたように近づき2人は親しくなる。夏休み中にはソンの家にジアが泊まり込むほどの仲となるが、新学期を迎えると2人の関係に微妙な変化が生まれる。
両親が共働きのソンは4歳の弟の面倒をよく見、親との会話も多く、関係もスムーズにいっている。一方、裕福な家庭のジアは家族の絆が希薄だ。やがて2人は徐々に疎遠になっていく。ソンはジアとの仲を復活させようと策をめぐらすが、かえって取り返しのつかない事態に追い込まれる。
おそらく多くの人は作品を見終わった後、いや見ているうちから、あれは自分のことではないかと思うのではないだろうか。嫉妬や格差といった現代社会が抱える問題は、大人だけが関わっているわけではない。力を持った派閥やグループがもたらすひずみは社会の隅々に広がり、学校の中といえども無関係ではありえない。
ただ、そのもたらす影響が切実で子どもたちの表情が厳しいのに、見ていてハラハラしながらも、まだ大丈夫と思う気持ちが心の隅にあるのは、ソンが家族から愛されているのを知っているからだろう。ソンはいじめに遭い、不安な表情を浮かべながらも、どこか毅然としているところがある。ジアを許そうという気持ちも残っているようだ。
ユン監督は、彼女の才能を認めたイ・チャンドン監督から撮影中に「これは真実なのか」と絶えず質問されたという。映画の中で、少女たちの表情が演技ではなく劇中の人物そのままのように自然に見えるのは、監督がこの瞬間の生の姿を映し取ろうと努めたからであろう。事前に準備し、そこまでレベルを高めた指導の入念さが見事に結実した作品だ。
子役といえば、ソンの4歳になる弟を演じたカン・ミンジュン君の演技も特筆ものの自然さだった。「僕の顔が画面に出てきて面白かった」という感想に、彼の伸びやかな性格がよく表れている。
(紀平重成 アジア映画ウオッチャー)
公開=9月23日よりYEBISU GARDEN CINEMAほか、全国順次公開。
公式HP=http://watashitachi-movie.com/

2017-09-13 6面
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