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2017年08月30日 21:04
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高麗青磁への情熱―107―

青磁研究の成功(六)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画

 「ほう、どこでどんな目にあったのかね?」
「水原の梧木川でのことです。初めに焼いたのはぺちゃんこに崩れたし、二度目のは歪みはしなかったけど全体がデコボコになってしまいました。そして三度目は、黒・青・黄色と変色してしまいましてね。これが四度目、奇妙な割れ方をしたところを見ると、この次はどんな怪物が出てくることやら」
「とにかく、たゆまずに焼いてみたまえ。十年といえば山河草木もその姿を変えるというけれど、その十年間、一心不乱に青磁に打ち込んできたのだから、いつかきっと、そう遠くないうちに必ず日の目を見るさ」
そうだ。私はその時に向かって常に走り出す姿勢を保っていた。
今度は梧木川から持ってきた土を捏ねて小さな花瓶を四個作った。そのうち二個には粉青釉薬を塗り、あとの二個には雲鶴を彫刻して象嵌し、青磁釉薬を塗って焼いた。
「今度使った土はどんな土かね?」
春培氏が訊いた。
「梧木川から持ってきた土なんです」
「それは、例のいろいろな色に変わってしまったという土じゃないか?」
「ええ、そうです」
「いやはや、一度失敗しながらまたその同じ土を使うんだからなあ」
「それでも梧木川とここでは火にくべる方法が違いますからね。あるいは火にくべたときの関係で変色したのかも知れないと思いまして」
「もちろん違うことは違うが……。陶器を焼く時の火力と磁器の火は別なんだけど、いろいろ変色した土だから心配だな」
「今度もだめなら、また別の方法でやってみます」
春培氏と話していると、浅川さんがやってきた。皆姿を見せて、彼に挨拶した。
「浅川さん、ちょっと遅かったですね。窯の火は昨日消えました。また暫く待ってもらわないと」
「いや、私は二、三日滞在して絵でも二、三枚描いて帰り、また窯出しの頃にやって来ればいいんだから。今日は柳さんの作品のことが気がかりで来てみたんだが、どれ、拝見したいものだ」
「お見せしますけれど、また失敗作なんです」
「うん。高麗青磁とはそう簡単なものではないからね。失敗を何度も繰り返してこそ研究だよ」
「今年でちょうど十年なんですが、まだまだ道が遠いようで不安です」
「おや、十年がそんなに長い歳月だとでも思うのかね? 日本人は工科大学窯業科を卒業して五、六年間実習に行っても、簡単な現代磁器ひとつちゃんと作れる者もいない。ところが、陶磁器の中でも一番難しいと言われる高麗青磁を基礎知識もない素人がどうして短期間に作れますか」

2017-08-30 6面
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