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最終更新日: 2017-09-22 08:26:46
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2017年06月21日 07:06
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高麗青磁への情熱―100―

放浪の旅(四)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画

 本能的にいい匂いの発するところへと向かった。匂いがだんだん強くなるにつれ、部落が見えてきた。村の入口に至って、ここはどこかと訊いた。すると明川だと言う。瞬間、全身に力が湧いてきた。
はやる気持ちを抑えながら、さっそく陶磁器工場と窯跡を尋ねると、ここには陶器工場だけで、高麗青磁とは何なのか、そんな名称も知らないとの返事だった。
昔から「山を越えれば泰山があり、海を越えれば大海がある」と言うが、いまや進退きわまった。どうすればよいやら、さらに進むことも退くこともままならなかった。私はその場にうずくまってしまった。目からは熱い涙がこぼれ落ちるばかりだった。
ここまで何しに来たのかと後悔しても始まらない。「虎に食われても気だけは確かに持て」という言葉もある。泣いている場合ではなかった。何とか道を見出さねばならないと思った。
この時ふと頭に浮かんだのが、詩文の一句だった。「天不生無禄之人。地不作無名草」という。つまり、天は禄のない者を生みはしないし、土もまた、名のない草を生やすはずはない。したがって私も、天が与えた禄を探すべきだ、と思った。こうしている場合ではないと思った。勇気を出して、ひょろひょろと立ち上がると、背中に人の声がした。
「この綱をちょっと掴んでくださらんか」
「何の綱ですか、これは?」
「鰯を捕る網の綱ですよ。この綱を引くと、網が海辺に上がってくるんで、さあ。鰯を砂浜に引き上げようってことなんだよ。日当で五銭出すから、早くこの綱を引っ張ってくれないか」
「あなたも急いでおられるようだが、私はいま腹が減ってしかたがない。先ずめしが欲しいんだが」
「めしですか?」
男はいぶかしそうな目つきになった。そして、私が何日もろくに食事をしていないことに気がついたようだった。
「オンマー、この人にご飯を一杯出してくれ!」
間髪を入れず、山盛りの飯と魚の煮付けとありあわせの惣菜などが出た。
「どうぞ召しあがれ」
その男の妻が運んできた食事を、朦朧とした気分で食べると、どうしたことかさっき以上に体が重くなり、身動きひとつできなくなった。だからといってこのまま座っているわけにはいかない。とにかく綱を引っ張らないことにはどうしようもない。
私はわけもなく網の綱を握って引っ張ったが、倒れてしまった。また、私は食事を得た。しかしやっと五日間その仕事をこなした。六日目、いきなり暴風が吹き荒れ、網の魚が騒ぎだした。

2017-06-21 6面
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