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最終更新日: 2017-12-13 00:00:00
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2017年05月31日 00:00
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【映画】『きらめく拍手の音』(韓国)
音のない世界と音であふれる世界が併存

耳の聞こえない両親は手話に加え、この豊かな表情で会話する
 耳の聞こえない両親の日々を、健聴者の娘が親密なタッチで写し取ったドキュメンタリー。音のない世界と音のあふれる世界を往還する監督が、両親や社会から学ぶことは多い。たとえば観客が感動して思わず打ち鳴らす拍手の音を、両親たちは手をひらひらさせながら「きらめく拍手の音」と表現していることも、学んだ多くのことの一つかもしれない。
監督は韓国芸術総合学校でドキュメンタリー制作を学んだイギル・ボラ。自身の家族を題材にしたのは、物心がついた頃から障害者の子供と見られることが重荷と感じ、早く大人になりたかったのと、そのために高校を中退し世界中を見て回り、視野が広がる中で、子供のころから持っていた、困った人を助け、映画を作るという二つの夢をどちらも実現したくなったからという。
そんな監督にとって、目の前に音のない世界と音であふれる世界が併存しているという厳然とした事実があり、しかも、両親と弟と暮らす世界はきらめいていたという実感。自身最初の作品に、その家族を選ぶのは極めて自然な流れだったといっていいだろう。
監督が映画を作って初めて知ったことの中には、手話は相手の手を見るだけでは絶対に伝わらないという事実も含まれていたという。耳の聞こえない人たちは、手話をするときに手ではなく相手の目や表情を見て、内容を深く理解していく。撮影でよく見られる目や口のクローズアップは、顔の表情など全体を見えにくくするので、むしろ構図を変えない撮影方法が必要になることも学んだという。
監督が意図したのかどうかは分からないが、映画の後半、監督が両親や弟と4人でカラオケに行き歌うシーンが印象的に使われている。それは家族にとっての日常なのだろう。まず母親がマイクを握り歌い出す。すると父親は脇に立ってタンバリンを鳴らしリズムをとる。さらに手話で歌詞を表現しつつ口ずさむ弟が後方に小さく映る。三人三様の渾然一体となった贅沢で幸福感に満ちた歌い方。それを見つめる監督も心の中で唱和しているに違いない。
生活や育児などで様々な苦労をしたであろう両親への感謝の思いが込められた「プレゼント」作品。山形国際ドキュメンタリー映画祭2015「アジア千波万波部門」で特別賞を受賞している。
(紀平重成 アジア映画ウオッチャー)
公開=6月10日よりポレポレ東中野ほか全国順次公開。
公式HP=http://kirameku-hakusyu.com/

2017-05-31 6面
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