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最終更新日: 2018-02-15 00:00:00
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2017年05月12日 19:40
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高麗青磁への情熱―95―

結婚生活(七)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画

 「ええ、それはそうだけど、あなたの仕草が可愛くて、ついつい一緒に片付けたくなるのよ」
「オモニがそんなにあたしのことを可愛がってくださるのに、あたし、実家暮らしをしていて、ほんとうに申し訳がありません」
「まさ子、そんなにまで思いつめることはないわ。娘を愛するあなたのお母さんの気持ちも、嫁を愛するあたしの気持ちも、みなひとつなの。それに、あたしには、一年経ったらあなたが来てくれるって望みがあるし」
「オモニにいろいろ教えていただきながら暮らせるようになって、ほんとうに幸せに思っていますわ」
「あたしのことより、あなたたち二人が愛し合いながら幸せに暮らさなきゃなりませんよ」
「はい、わかりました」
片付けの終わったまさ子が部屋に戻った。
「あなたは先に工場に行って。あたし、暫くしたら、家に行くときに寄ってみるわ」
私は母に挨拶をしてから工場に赴いた。まさ子が門のところまでついてきて、明るく笑った。
私たちは毎日が楽しかった。暮らし向きはさほど良い方ではなかったが、家庭円満だった。しかし、好事魔多しという通り、良いことは続かないものである。
もうひと月もすれは実家暮らしも終え、私の家へ行くことになった。が、そのひと月の経たぬうちにまさ子が病魔に襲われたのだ。医者の診断では、腸チフスとのことだった。
日本人の間では、腸チフスというのは一〇人中ひとり助かるのも難しい伝染病として知られていた。それで、患者の部屋には、たとえ親でも近寄ろうとしない。
まさ子の母は、娘の部屋には出入りもせず、私にも危険だから部屋に入ってはいけないと言う。しかし、まさ子の母と私とでは、立場がちがう。母は娘がいつかは他人の家に行くものとの考えから、そこにはひとつの厚い壁があるのだが、私はそうではない。まさ子は私の妻である。私は心ゆくまで患者の部屋に出入りし、何とか彼女を救いたい気持ちでいっぱいだった。
母が名の知れた漢方医のもとを訪れて薬を買ってきて、自ら湯を沸かして薬を施した。しかし、母の心尽くしにもかかわらず、まさ子の病気は少しも好転せず、しだいに衰弱の度を増してゆくのみだった。私は、そうであればあるほど、彼女の傍らについていろいろ世話もしてあげ、慰めてあげたりした。
「まさ子、死の病にも蘇生の薬があるというものだ。病気に打ち克って、心を落ち着かせなさい」
「あなたとオモニの心尽くしにも応えられないで、あたし、このまま死んでしまいそう。優しいオモニと、情け深い夫と一緒に暮らしていく資格が、あたしにはないからかもしれないわ」

2017-05-12 6面
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