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2017年04月26日 21:06
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高麗青磁への情熱―93―

結婚生活(五)

柳根瀅
高徹・訳/馬瑞枝・画


「ぼくに何か用があって来たのか?」
「別に用があって来たんじゃないわ」
「じゃ、何しに来たのさ?」
「あら、今日が何の日かわからないのね?」
「今日? そうだな、今日が何の日だっけ? わからんな」
「今日はオモニに会いに行く日なのに」
「あ、そうだったか。手にしているのは、何だ?」
「これ? これは鯖と鮸(にべ)よ」
「そんな生臭い鯖なぞ買って」
「生臭くても、オモニの好物だからよ。そして、あなたは鮸(にべ)が好きだったでしょ?」
「とにかく、おまえはオモニによく尽くしてくれるからな」
「あなたには?」
「ぼくには別段何もしてくれない」
「何てことを言うのよ、寂しいことを」
「寂しい? ぼくの死んだあとおまえが再婚しないで操を守れば烈女とも呼ばれるかもしれないけど、今は何だ、何でもないじゃないか」
「いいかげんにしてよ」
軽い痴話喧嘩もまた楽しいものだった。
まさ子は先に作業場を出た。私は引けるまで彫刻をしてから、道具を一つひとつ箱にしまい、帰る準備をした。
「崔君、久し振りに一緒に出かけることになってみると、過ぎたことがみな夢みたいだよ」
崔君も嬉しそうな表情をつくって、
「そうだね。実に、計り知れないのが人の運命というものだ。君がまさ子さんのことを倭女だといって猛反対していたのに、今では夫婦として楽しく暮らしているんだからなあ。それに、真心を尽くせば必ず天に通じるというが、これはほんとうにまさ子さんのための言葉みたいだ。いつも反対していた君に片思いして、あんなにまで慕って、とうとう君と夫婦になったんだから」
「話が出たついでだから、まさ子と結婚できたのは、すべてまさ子の誠意のおかげさ。ぼくがこの工場に来てまる二年になるけれど、その間ただ食べてばかりで、やったことと言えばまさ子との結婚だけで、ぼくの本来の目的は結局、水泡に帰してしまったよ」
「おや、君のような幸運な者が何を悲観している? 以前と違って今では主人とは親戚じゃないか。それも、いとこ同士の深い関係なんだから、釉薬の調合法を教えてもらうんだよ」
「そんなことできるもんか。いくら親戚だからって、ぼくは朝鮮人じゃないか。だめに決まっている」
やがて、家の近くにまで来た。
「さ、話の続きは明日にして、それじゃあここで」
「うん、明日また会おう」
私は門をくぐった。

2017-04-26 6面
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