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最終更新日: 2017-08-19 08:12:03
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2017年02月01日 23:06
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『天使にショパンの歌声を』(カナダ)
60年代のカナダ シスターと生徒が心を一つに

 クラシック音楽好きの人なら必見。それほどのファンではなくても、誰でも一度は聴いたことのある名曲の数々が随所に織り込まれる至福の展開は、60年代のカナダの音楽学校が舞台という、自分とは一見縁のなさそうな作品でも存分に楽しむことができるだろう。

発表会の場でアリス(ライサンダー・メナード=右)は校長オーギュスティーヌ(セリーヌ・ボニアー=左)らの前で最高の演奏を披露する 
(C)2015-9294-9759 QUEBEC INC. (une filiale de Lyla Films Inc.)

 冬ともなれば、絵本の中から取り出したような可愛い建物が雪にすっぽりと包まれるカナダの小さな寄宿学校。ケベックにある同校は音楽教育に力を入れ、名門の呼び声も高かったが、運営する修道院は採算の合わない音楽学校を売却することを画策する。映画は校長のオーギュスティーヌ(セリーヌ・ボニアー)が音楽の力で世論を動かそうと奮闘する姿を描く一方、転校してきた姪のアリス(ライサンダー・メナード)に天性のピアニストの才能があることを見出すものの、周囲に心を閉ざす彼女に振り回される日々をも生き生きととらえていく。
見どころは多い。ケベックの美しい四季を背景に、物語の進行に溶け込むようにショパンの「別れの曲」をはじめリストの「愛の夢 第3番」やベートーベンの「ピアノソナタ 第5番 ハ短調」、ドビッシーの「家なき子たちのクリスマス」といった名曲の数々が披露され、見る者の心を洗ってくれる。
美しさだけでなく音楽の才能にも恵まれたアリス役のライサンダー・メナードが素晴らしい。2012年に「カナダを代表する未来の音楽家30人」に選出されたピアニストのメナードは映画の中でも持てる力をいかんなく発揮し、ピアノ演奏の魅力を極限にまで高めて見せてくれる。しかも、これが長編映画デビュー作とは思えないほど印象深い目の輝きを惜しげもなく披露し、それだけでも一見の価値はありそうだ。
「天国の青い蝶」「翼をください」で知られるレア・プール監督の非凡なところは、恵まれた素材に甘んじることなく、近代化の波が押し寄せるカナダの社会事情をうまく脚本に取り込んでいる点だ。修道院の音楽学校の公教育への変遷という伝統と改革をめぐる軋轢(あつれき)、あるいは立場の弱かった女性が音楽の力を得て困難に立ち向かうという生き方は、普遍性のあるテーマといえるだろう。シスターと生徒が心を一つにして事に当たるという展開もまた見る者の共感を呼ぶに違いない。
生徒たちが発する天使のごとき歌声や、シスターと生徒による「清掃ダンス」、フレッシュなシスターらの制服も彩りを添えている。
(紀平重成 アジア映画ウオッチャー)

公開=シネマート新宿ほか全国順次公開中。
公式HP=http://tenshi-chopin.jp/

2017-02-01 6面
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