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最終更新日: 2017-03-28 11:54:57
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2017年01月02日 12:23
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グローバル時代の反動 世界で台頭する「反移民」と現状
トランプ現象は拡大するのか 高まる欧州の伝統回帰

 2016年は、欧米で「反移民」が一つのキーワードになった年だった。米国では「メキシコとの国境に壁を築く」とぶちあげたトランプ氏が次期大統領に当選。欧州では6月に英国がEU離脱を決めたほか、いわゆる極右政党の台頭が顕著になった。欧州統合の象徴でもあったEUに入った亀裂は、このまま広がるのか。移民は本当にEUに危機をもたらす存在なのか。

ゆらぐEUの寛容 「移民を押しつけられた」

 近年の欧州での移民問題を語るうえで避けて通れないのが、シリア難民の問題だ。移民と難民はまったく異なる背景や境遇であるはずだが、ひとまとめにして語られることが少なくない。欧州委員会は15年5月「欧州移民・難民アジェンダ」を発表。緊急行動として難民16万人を、EU加盟国で分担して受け入れることなどを掲げた。
しかしその直後、難民が起こした事件が世間を騒がせた。ドイツとスウェーデンでは性的暴行事件が発生。何よりも、15年11月のパリ同時多発テロ事件に難民を装ったテロリストが加わっていたことが明らかになり、欧州全体が難民受け入れに消極的になった。
ほぼ同時期に存在感を高めたのが「反移民」を掲げる政治グループだった。彼らは難民の受け入れに反対で、移民に対しても同様のスタンスをとった。難民問題が落ち着き始めると、矛先は移民にシフトしていった。
代表的な政党はフランスの「国民戦線」(FN)だ。イタリアの「北部同盟」、オランダの自由党、ドイツの「ドイツのための選択肢」(AfD)などとともに、反EUという軸でも一致している。
16年のブレグジット(英国のEU離脱)の際に争点の一つとなったのが移民問題だった。離脱派は移民が福祉関連の費用を圧迫し、職を奪うと主張してきた。だが、EU加盟国からの純移民数(移民受け入れ者数から移民した英国民を引いた数)は20万人に満たない。人口6000万人を超える英国全体の数%だ。EU域外からの移民では中国、インド、パキスタン出身者が多い。
移民が英国人の職を奪っているかどうかについて、明確な統計はない。ただ、月並みな表現をすれば、移民は「古くて新しい問題」だ。
英国では第2次世界大戦後、旧植民地出身者を中心に移民が増加。大都市ロンドンでは彼らのコミュニティーができ、1958年には地元の白人とカリブ系黒人移民の間で死傷者を出す大きな衝突があった。事件から10年後の68年には、英保守党のイーノック・パウエル議員が「血の川」発言を行う。このままでは黒人移民が社会の秩序を乱し、衝突によって「血の川」が流れると述べたのだ。
パウエル議員の「予言」は、一部で当たった。「血の川」になるほどではなかったものの、都市部を中心に人種対立に端を発する暴動が頻発。2011年には、警官による黒人男性の射殺をきっかけに5人の死者を出す暴動が起きた。近年の対立では移民2世が対象になっており、問題の根深さを表していよう。
ただ、英国においてEU離脱と移民が結びついたのは、東欧からの移民が目立ちはじめたころだ。東欧からの移民は、EUの定めたルールにのっとって英国に渡った。この時も英国民の中には「移民に職を奪われる」という見方をする者がおり、彼らはEUに移民を「押しつけられた」と捉えた。これがEUへの不信を生み、ブレグジットにつながった。ブレグジットを支持した人を分析すると、低所得層、低学歴層、失業者などが多かった。
フランスFNの2代目党首のマリーヌ・ル・ペン氏は、父である初代党首ジャン=マリー・ル・ペン氏の路線を継承しつつ、極端な排外主義をトーンダウンさせ、支持を拡大している。今春(4月~5月にかけて)行われる大統領選挙で勝利する可能性も芽生えている。英国の失業率が5%前後であるのに対し、フランスは10%に迫ろうとしている。人種間の対立も英国より深刻といわれる。ル・ペン氏が「トランプ戦略」を参考に選挙戦を展開するとの見方もあり、現在は「最有力候補」と目されていない同氏がどこまで票を伸ばすかは未知数だ。
ドイツでは、13年発足のAfDが「反難民」「反ムスリム」を掲げて勢いを得ている。昨年9月にメルケル首相の地元で行われた州議会選挙では、連立与党の社会民主党に次ぐ得票率を記録。メルケル首相のキリスト教民主同盟を上回った。今年秋には連邦議会・下院選挙が予定されている。
ドイツでは昨年12月、チュニジア難民の容疑者がクリスマス市を狙ったテロを起こし、12人が犠牲になったばかり。EUの中核メンバーであるフランスとドイツでFNやAfDが発言権を増せば、域内の結束が揺らぐのは必至だ。

 

2017-01-01 14面
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