京畿道・安山の株式会社第一スポーツセンター(以下第一)が今、株主間の対立によって揺れている。5月29日に行われた定期株主総会で役員を選任し、6月6日の取締役会で代表取締役に徐正一氏を選ぶことで表面的な争いは収まった。しかし、総会の票決結果(賛成34・反対31・棄権1)に表れているように、火種はくすぶっている。
(6月2日付本紙4面記事参照、ソウル=李民晧)
▲5月の株主総会
現執行部、薄氷の再出発
第一は、母国韓国に残っている在日韓国人の遺産だ。在日韓国人の1世が力を合わせて作った母国の基盤だからだ。
トラブルの発端は、法人株主であるK産業の代表、姜錫文氏(57)。姜氏が他人名義の株を複数保有していることと、国内人であることが問題になった。
第一の定款第11条は「名義変更の資格は在日韓国人に限定する」、「株主の資格は在日韓国人自然人に限定し、会社および団体は対象ではない」と規定している。定款によれば、相続などのいくつかの条件が重なった場合を除き、国内人は第一の株を取得できない。また、株主1人が保有できるのは1株のみと定められている。
しかし、創立者らが定めた「一人一株」の原則が守られていないのが実情だ。株主の中には、息子や娘と一緒に株主に登載されている人がいる。株主リストに載っている人物とは別の人が実際の株主になっているケースは、いわば“公然の秘密"になっている。
多数の株主が数年前から、姜氏が会社の経営権を取得するために株式を多量に購入してきたと疑っていた。
姜氏は5月29日の定期株主総会で「(株式を)多くの人が私に売った」、「数量はかなり多い」と述べている。自ら他人名義で多数の株式を保有していることを認めたのだ。
姜氏が何の目的で、どのような経緯で株式を取得したかは確認できていない。姜氏は本紙のインタビュー要請に回答しなかった。
株主総会で自らが保有する株式をすべて売却すると明言した姜氏は「徐正一氏の背後に第一の顧問弁護士である蘇東基氏がいる」と指摘。「蘇氏は07年5月、第一の株をM貯蓄銀行に売却しようと計画した」と、現執行部に対して逆に疑問を提示した。
これに対して蘇弁護士は「姜氏は当時、自己紹介をしながら『第一を買収しようと株を買ったがあきらめた』と話した」と証言。「弁護士として株取り引きの中間に立ち会ったことは事実だが、第一を買収するつもりはない」と姜氏の疑惑を否定した。蘇氏が第一の顧問弁護士になったのはその後のことだという。
現在第一と、姜氏ら株主との間で進行・完了した訴訟は8件。すでに確定したK産業原告の「代表取締役および理事職務執行停止申請」訴訟で裁判所は、昨年の定期株主総会で入場制限されたK産業側を勝訴とした。
このため今年上半期、職務停止となった徐正一氏の代行として、裁判所が派遣した朴正洙弁護士が代表取締役を務めていた。そして5月の定期株主総会で、株主らは徐氏を含む16人の理事と監事を選出。その後取締役会が徐氏を代表取締役に追認することで、徐正一体制での再出発となった。
ゆれる「祖国山河心清体健」の精神
分裂寸前となった第一を再び結びつける方法は何か。取材に応じた株主らは、誰もが第一を在日韓国人の母国の憩いの場にしなければならないという点で一致した。
方法論はまちまちだ。
執行部は「葛藤が表面化したのは、在日韓国人の財産を守ろうとして生じたもの。避けられなかったという側面はある」と話す。さらに今回の事態が経営や会計の問題から始まったことではないという点を挙げ「心機一転の機会にして第一を発展させていく」と述べた。
執行部は株主相互間の理解を深め、親睦を強化するため、株主の集まりを作って運営していく方針だ。しかし一部の株主は「執行部は和を乱した責任をとって退き、新経営陣を迎えなければならない」、「派閥と独善的な経営に責任がある前任の役員をそのまま再任するのはおかしい。5月29日の株主総会は法的な問題を内包している」と指摘する。
ある株主は「先代の時からためてきた600億ウォン近い内部留保金の大部分を、この数年間の株主配当に使ってしまった」と批判。収益率を超える配当によって、会社の価値が落ちたと経営陣の問題点を指摘した。
ただ、異議を申し立てたこの株主自身が、ほかの株主とともに総会での配当決議に賛成したという矛盾点はある。「会社の価値の下落」は執行部だけの責任問題ではなく、株主全員のものといえる。
第一は一時、韓国のゴルフ愛好家の間で「主人なき会社」、「トンポ(金持ちの在日韓国人)ゴルフ場」と呼ばれたことがある。
今のまま株主が二分したまま並行していけば、第一の将来は、ゴルフ愛好家がいうように何ら意味のないゴルフ場になるかもしれない。
忘れてはいけない事実がある。
▲20年以上前にオープンしたゴルフ場は今も残っている
第一は28年前に在日韓国人1世が力をあわせ「後世に故国の想念を植え、心身修練の道場であると同時に内外同胞の交流の場にする」という考えのもとでできた基盤だ。1世の遺志によるならば、70人の株主のための場所でもない。在日韓国人全体のための親睦・交流の場でなければならないはずだ。
第一に関わっているすべての人々は、第一に活力を与え、在日韓国人の足跡を残す責務があるといっていい。同時に在日韓国人の故郷であると同時に遺産である第一が、なごやかなエネルギーあふれる場所に生まれかわるのを待ちこがれている。 |